市場環境と生産管理
生産管理というと、製造の効率化をイメージする方も多いかと思いますが、製品が置かれている市場環境によっても、最適な生産管理方針が変化します。
市場環境に適した生産管理が行われないと、予期せぬ在庫を抱えてしまうなど、いつのまにか、見えないコストが積み上がってしまう。なんてことになりかねません。
自社の生産管理方針の確認方法 最適化生産か機動生産か?
自社をとりまく市場環境に合った生産管理方針は、どのように決められれば良いのでしょうか。
以下のチェックを記入して、確かめてみましょう。
いくつあてはまるでしょうか?
市場環境診断
1.お客さんは1~ 2 ヵ月なら、待ってくれる
2.価格は、自社が主導的に決定できる
3.在庫はいずれ売れる。3か月以上滞留している製品在庫はない
4.ある程度、3か月先まで需要予測が頼りになる
5.売れ筋商品は決まっている
6.シェアが安定している、または伸びている
生産管理診断
1.最重要KPIは、製造コストである
2.リードタイムの確保は重要である
3.生産計画・管理担当者は残業が多い
4.大きな計画変更は、好ましくないと考える人が多い
5.計画の変更には多大な工数がかかる
6.生産計画は基本月次のサイクルで、週次で調整している
7.他工程の進捗はよくわからない
8.計画の達成率・進捗率が100%なら、製造の責任は果たせている
9.(製造部門の方への質問)営業は、製造のことがわかっていない
10.(営業部門の方への質問)あまり短納期の受注を受けると調整が面倒である
判定方法 最適化生産か機動生産か?
先程の質問の「YES」 数で、現在の貴社の「市場環境」 と 「 生産管理 」 を 把握することができます。
市場環境診断と特徴
市場環境診断の「YES」数
・1~3個:成熟期
・4~6個:導入期・成長期
【 市場環境 】 導入期・成長期・成熟 期の特徴
生産管理診断と特徴
生産管理診断の「YES」数
・1~4個:機動生産
・5~10個:計画生産
【 生産管理 】 計画生産と機動生産
【参考】市場環境と製品ライフサイクルの関係
・ある製品やある技術が世に出してそれが普及すると、当然需要が増えます。この時期を導入期と言います。
・導入期に用途が増えていきますから、品種というのはだんだんと増えていきます。この時期を成長期と言います。
・製品種も無限に増え続けることはありえないので、やがて需要もそこそこ安定してきます。この時期を成熟期と言います。
・生産計画を立てる上で、自社 の製品ライフサイクルがどの時期にあるか見極めることが非常に重要となります。
また、 それぞれの時期に適した生産管理方針を採用することが、部門間の対立やキャッシュフローの悪化を防ぐ上で、重要となります。
・計画生産は、低コスト化を重視します。低コストによる利益増大や、価格で販売量を確保していこうとする場合に用いる生産管理 です。
・計画生産に適した市場環境は、「在庫はいずれ売れる」と思える市場環境です。
需要予測もある程度信頼できるから計画をきちっと立てて計画通りに生産して、低コストで作っていこうという管理方針 です。
・計画生産のKPI は、生産量の達成・コスト を重視する ので、大ロット生産を指向する傾向にあります。
・機動生産は価格への注力だけではなく、ライバルメーカーが追随できない短納期を実現し、サービスで生き残っていこうという管理方針 です。
・機動生産における市場環境は、「何が売れるか分からない」という市場環境です。機動生産は、お客様の注文はコロコロ変わるような状況に適した生産管理です。
・機動生産のKPI は、短いリードタイム・機動性・スピード・柔軟性を重視します。