まだ食べられる食品が廃棄される食品ロス(フードロス)
売れ残りや、賞味期限切れが原因となり、まだ食べられるはずの食品が廃棄されてしまうことを食品ロス(フードロス)と言います。
日本では、年間646万トン(※)の食品ロスが発生しています。これは、食糧難で苦しむ人々への食糧援助量が、平成26年で年間約320万トンなので、その約2倍の量の食品が、食品ロスとして廃棄されているということになります。
食品ロスは、生産、加工、小売、消費の各段階で発生しますが、賞味期限を、「年月日」表示から「年月」表示に切り替えることで、無駄な廃棄を削減することができます。
※農林水産省「平成27年度推計」
「先入れ先出し」の原則に基づく賞味期限の「日付の逆転」現象
食品メーカーは、小売店へ商品を納入する際、前日までに納入された商品の賞味期限よりも古い賞味期限の商品を納入することができません。例えば、あるスーパーに賞味期限が2018年7月7日の商品が納入された場合、以後2018年7月7日以前の商品は納入することができないのです。こうして納入できない商品が、食品ロスへと繋がります。しかし、これは食品業界の長年の商慣習によるルールで、賞味期限そのものによる問題ではありません。他の小売店であれば、2018年7月6日の商品を納入することは問題ないのです。
一日単位での在庫管理が必要
「先入れ先出し」を実現するために、生産工場はもとより、保管から流通まで、一日単位での在庫管理が必要となっています。たった一日のずれをなくすために、保管倉庫やトラック、ドライバーまで多くのリソースが割かれています。
なるべく無駄を排除するために行なわれている1日単位での在庫管理ですが、日々の需要の変化による納入数の増減で、逆に無駄を生み出している原因のひとつにもなっているのです。
賞味期限は「年月」表示に変更することが可能
3ヶ月以上の賞味期限の食品は、賞味期限の「年月」表示が認められています。「日付の逆転」現象が原因となり、大量の加工食品が廃棄されている事実を考慮すると、賞味期限を「年月日」から、「年月」表示へ変更することで、納入前の商品の廃棄を回避することができ、食品ロスを削減します。
賞味期限を「年月」表示にすることにより、日単位での製造調整が必要なくなり、月単位での製造調整を行うことが可能になります。
また、賞味期限までの「3分の1ルール」で「販売期限」による廃棄の回避や、廃棄商品の管理コストも削減することができます。
「年月」管理に対応できる生産管理システムを利用する
賞味期限の表示を「年月日」から「年月」表示へ変更すること自体は比較的容易です。
しかし、生産から保管、出荷、配送までのプロセスを「年月」単位で管理する必要性が出てきます。そこで、生産から配送までを一括で「年月」管理できる生産管理システムを導入することで、効率的な生産管理を行うことができます。
賞味期限は「生産日」を基準に一定の期間後に賞味期限を設定するものと、
「消費品目」で賞味期限をそのまま継承するものがあります。
缶詰などの長期保存品は「年月」、生鮮食料品は「年月日」、というように「年月」「年月日」の賞味期限を使い分けられる生産管理システムを利用すると、食品ロスの削減を実現しつつ、無駄のない生産管理を実現することができます。