■ステップ・バイ・ステップ方式の業務プロセス

みなさんの工場では、「工程間のつながり情報」が見えているでしょうか。
もし、「工程間のつながり情報」が見えていなかったら、なぜ、見えなくなっているのか原因を探ってみましょう。

工場の典型的な業務プロセスは、PDCAサイクルに基づいた次のようなものです。

Plan
① 販売計画を決める。
② 販売計画と、在庫を見ながら工場に対する生産要求を決める。
③ 工場は生産要求に基づいて、生産計画と調達計画を決める。
Do
④生産の実施
Check
⑤ 計画に対し、実績を入力し、進捗管理と在庫管理を行っている。
Action
⑥計画の遅れに対し挽回策を講じて実施する

生産管理システムで実施している場合でも、人が表計算ソフトで実施している場合でも、上記プロセスを1ステップずつ、順を追って実施しています。
一つ前のプロセスの結果を受け取り、処理をして、次のプロセスへ「ステップ・バイ・ステップ」に結果を受け渡す方法です。ここではこの一般的に行われる方法のことを、ステップ・バイ・ステップ方式と呼ばせていただきます。

このステップ・バイ・ステップ方式は、生産管理の教科書にも必ず載っている基本的な管理方式です。
各部門の責任範囲と合致しているため、とてもわかりやすく、効率的に大量生産するための定番の管理方式でもあります。

■なぜ、「工程間のつながり情報」が見えなくなってしまうのか

ステップ・バイ・ステップ方式では、数量と期日の情報のみを次のプロセスに渡していきます。
そのため、出荷実績や進捗実績、在庫などは管理されているものの、「工程間のつながり情報」が見えなくなってしまいます。

出荷計画、物流計画、在庫計画、生産計画、調達計画、といった計画は、数値化され、表やグラフで示すことができます。
ですが、膨大な情報を表やグラフで表現しても、実際はあまり「見えた」という実感を持つことができません。

「見えた」という実感を持つためには、サプライチェーンのつながりが理解できて、現在までの工程と、未来へ与える影響が把握できていなければなりません。

例えば、今日の生産計画が、どの部品を使って、どの製品になり、どこへ販売されていくのかという道のりを見える化すれば、計画の必然性だけではなく、生産の遅延の影響までが容易に理解できます。
今日生産しても、明日から一ヶ月間倉庫で寝かされるだけであるということが見えれば、製造を後回しにしても構わないと判断することができます。
また、来週の出荷に必要な製品が、現在、生産工程のどのあたりにいて、完成までの道のりがどうなっているのかが把握できれば、いつ・どこで・何が・いくつ・なぜ 不足するのか、あるいは余るのかが理解でき、「見えた」実感を持つことができます。