工程管理とは、計画通りの製品を効率よく生産するために、Man(人)・Machine(設備)・Material(モノ)・Method(方法)の4M を管理・運用する活動です。
最適な工程管理を行うことで、製造工程のムダ・ムラ・ムリを省き、コスト削減・品質安定・作業員のモチベーション向上を実現できます。改善手法としてはPDCAサイクルが代表的で、計画→実行→評価→改善を繰り返すことで業務改善につなげます。

「工程管理って具体的に何をするの?」「生産管理との違いは?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、工程管理の基本から手順・方法・ツールまでをご紹介します。

工程管理とは?製造現場における定義と役割

製品の製造工程において、品質の良いものを効率良く作るために、製造工程を構成する4M=Man(人)・Machine(設備)・Material(モノ)・Method(方法)を管理し運用することです。

最適な工程管理を行うことで、製造工程のダラリ(ムダ・ムラ・ムリ)を省き効率の良い「ものづくり」ができます。

工程管理と生産管理の違いとは?

工程管理と生産管理は混同して使われる場合がありますが、基本的には次のような違いがあります。

  • 生産管理:需要と供給の調整を行い、在庫量を管理しながら、生産の計画を立案、実績を把握する活動。生産の計画に当たっては、設備能力、標準作業時間、必要なリードタイムなどを考慮する。また、生産の計画を実行するのに必要な資材の手配も行う。
  • 工程管理:標準作業を定め、いつでも標準作業どおりの作業が実施できるように、職場を管理すること。設備の保全、作業者の教育・技能訓練、品質管理を含む。

工程とは何か?工程管理の4M(Man・Machine・Material・Method)

製造現場で使われる工程とは、最終的な製品として完成するまでの作業手順を管理単位に分解したものです。標準作業通りに作業を行うことで正しい製品が完成します。

この工程は4つの構成要素で成り立っています。

4M:Man(人)・Machine(設備)・Material(モノ)・Method(方法)

この4つのうち1つでも変化があったらそこに注意を向けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

工程管理の歴史とは?トヨタ生産方式までの流れ

現代の工程管理を理解する上で重要な20世紀以降の工程管理の簡単な歴史を振り返ります。

テイラーの科学的管理法とは?

フレデリック・テイラーが提唱したもので、生産工程における作業に含まれる動作を細かく分解して動作研究を行い、最も効率のよい動作を標準作業として定め、標準の作業者が、標準の努力で、標準作業通りに作業を実施した場合の時間を、標準時間と定めました。 標準時間を定めたことで、生産現場に「管理」の概念が確立し、計画的な生産を実施できるようになりました。

IE(インダストリアルエンジニアリング)とは?

テイラーの動作研究などが、のちに改善の技術 IEとして発展しました。 IEの技術は製造現場をより効率的に変えてゆくための問題解決の科学的アプローチの一つです。 現状把握を目的としたいわゆる「見える化」の効果を使っています。  時間や作業を数値でまとめたり、図でまとめることによって、改善の余地を見つけるための工程管理の一つのツールです。

トヨタ生産方式とは?

トヨタ自動車の生み出した、工場における生産活動の運用方式で、7つのムダの削減、ジャストインタイム、標準作業時間に代表される現場主義の人が関わる改善による(ニンベンのついた)自働化を重要視した工程管理の一つの技術です。

工程管理の4つの目的とは?工程計画・進捗計画・工数計画・現品計画


工程管理の目的は、「工程計画」「進捗計画」「工数計画」「現品計画」を遂行し、生産計画に従って製造工程が正常に運営されているかを管理し納期を遵守することです。

工程管理の4つの目的:「工程計画」「進捗計画」「工数計画」「現品計画」を遂行し、納期を遵守することが最終的なゴールです。

工程管理の目的

工程管理のメリットとは?コスト削減・品質安定・モチベーション向上の3つ

ここでは工程管理のメリットを紹介します。

コストを抑えながら生産性を高められる理由

工程管理を行うことで、無駄を見える化できるので改善点が見つけやすくなります。

改善することでボトルネック工程での作業工数を減らすことができれば、人件費の削減にもつながりコストを抑えながら生産性を高めることができます。

顧客から信頼を得られる理由

工程管理によって製品の生産プロセスを常にチェックすることで、製品の品質を常に一定に保つことができます。

何の作業をどのように行えば良いかを明確にすることで正しい工程・方法で作業でき、製品の品質に大きな差が生じることは少なくなります。顧客に満足してもらえる品質を保てるようになれば、結果的に企業の信頼度が向上します。

作業員のモチベーションの維持につながる理由

作業方法にムダがあっては生産量を増やすことができません。そのせいで作業員の残業が多くなってしまっては、現場で働く作業員のモチベーションは下がってしまいます。

工程管理によって作業のムダを省くことで、作業員のパフォーマンスを高めることができればモチベーションを維持することにつながります。

工程管理の改善手法とは?PDCAサイクルの手順と進め方

ここで説明する工程管理の改善手法であるPDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-action cycle)は、日本の製造業成長の起点となった改善手法です。

PDCA

Plan(計画)

まずは、従来の実績や将来の予測などをもとに目標を決めます。目標を達成するために必要な計画を立案します。

  • 製品の種類や数量を決定します。
  • 4Mを確認します。(人・設備・モノ・方法)
  • そして作業完了までの工数をもとに工程計画を行います。

Do(実行)

次に立案した計画をもとに生産を行います。

  • 生産がスムーズに進んでいるかを確認します。
  • 問題や改善点があればそれを書き出しておきます。
  • 生産状況の確認はできる限り数値化します。
  • 結果は見える化することが大切です。

Check(評価)

次に目標に対する進捗状況を確認し目標を実現できているかを確認します。

  • 問題点があれば原因を調べて書き出してください。
  • 個人的な感想や意見ではなく出来るだけ数値化した結果から評価していきます。
  • 改善案を出して効率の良い生産方法を考えます。

Action (改善)

評価・見直した内容をもとに、適切な処置(改善)を行ないます。

良い品質の製品やサービスを生むプロセスをレベルアップするために改善案を実行します。
それでもいい結果が出ない場合は、もう一度計画から練り直し、目指す工程が出来上がるまで改善を続けていきます。

このPDCAサイクルが正しく機能すれば、業務改善に繋がっていきます。

工程管理の見える化ツールとは?紙・ホワイトボード・ガントチャートの特徴

工程管理をするためには工程表を作る必要があります。それぞれの特徴に合わせて工程を見える化することで情報の共有と業務の効率化を行えます。ここでは、代表的な工程表をご紹介します。

紙やホワイトボードで管理する方法

紙やホワイトボードを使用する方法なら、紙やホワイトボード、ペンがあれば問題点や改善案をすぐに記録・修正できます。特にホワイトボードは見やすく、手軽に修正できるので、進捗状況の報告や相談を口頭で行える場合、情報につながりを持たせることができて、チームワークを発揮しやすくなります。

ガントチャートとは?工程管理での使い方と注意点

ガントチャートとは、それぞれの作業開始日と完了日までの期間をバーで示し、各作業との関係や人員、工数などの工程を視覚化する表のことで、作業の流れと進捗状況を一目で把握できるようにした棒グラフです。

複数の作業の進捗状況の全体像が把握できますが、想定外のトラブルや計画変更が頻発したときにチャートの更新に膨大な時間がかかり「今どうなっているのか」が分かりづらくなることがあります。変更が発生した場合、こまめに修正を入れることで計画通りに作業を進めることができます

ガントチャートは計画変更が頻発すると更新に時間がかかります。変更が発生したら、こまめに修正を入れることが重要です。

まとめ

工程管理とは、4M(Man・Machine・Material・Method)を管理・運用し、製造工程のムダ・ムラ・ムリを省いて効率の良いものづくりを実現する活動です。

工程管理を適切に行うことで、コスト削減・品質安定・作業員のモチベーション向上という3つのメリットが得られます。改善手法としてはPDCAサイクルを繰り返し回すことが重要で、工程表やガントチャートなどの見える化ツールを活用することで、情報共有と業務効率化を進められます。

まずは自社の製造工程を4Mの観点から見直し、PDCAサイクルによる改善を始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

「生産管理」と「工程管理」の違いは何ですか?

主な違いは対象とする範囲と目的にあります。

  • 生産管理: 需要と供給の調整、在庫管理、設備能力や作業時間を考慮した全体の生産計画の立案や資材手配など、生産全体を管理する活動です。
  • 工程管理: 標準作業を定め、現場がいつでもその通りに作業できるよう設備保全や作業者の教育・品質管理を行うなど、具体的な製造現場・プロセスを管理する活動です。

工程管理を実施する目的とメリットは何ですか?

目的は「工程計画」「進捗計画」「工数計画」「現品計画」を遂行し、納期を遵守することです。導入による主なメリットは以下の3点です。

  1. 生産性の向上とコスト削減: 作業の無駄やボトルネック工程を解消し、工数や人件費を削減できます。
  2. 品質の安定と顧客信頼の向上: 正しい工程・方法を定めて維持することで、品質のばらつきを防ぎます。
  3. 作業員のモチベーション維持: 作業の無駄や過度な残業を減らし、現場のパフォーマンスを高めることができます。

工程の「見える化」にはどのようなツールが使われますか?

主に以下のようなツールが使われます。

  • 紙やホワイトボード: ペンとボードがあればすぐに記録・修正でき、対面での情報共有やチームワークの向上に適しています。
  • ガントチャート: 作業の開始〜完了日をバー(棒グラフ)で示し、全体像や進捗を一目で把握できる表です。ただし、計画変更が頻繁に起きる場合は更新の手間がかかるため、こまめな修正が必要です。