■生産管理とは
生産とは、お客様が求めるQCD(品質・コスト・納期)の商品を製造することです。
生産工程において、分業制が生み出され、作業工程の単純化と専業化により、生産効率が大きく向上しました。
その副作用として、分割された調達部門、各製造工程、物流部門、などが実施する活動をコントロールする必要が発生しました。このコントロールのことを、生産管理といいます。
特に調達や物流に特化する場合、調達管理や、物流管理などと言うこともあります。
また、全部を統合してサプライチェーン管理(SCM)とも言われます。
以降、本記事ではこれらのことを「生産管理」と記述します。
生産管理とは、つながりあったそれぞれの生産工程を効率よく稼働させるために、計画、実施、統制を行うことを言います。
代表的な管理サイクルが、Plan,Do,Check,Actionの頭文字を取った「PDCAサイクル」です。
・P=生産計画
生産製品、生産数、生産手順、生産日程、材料、設備配置、人員配置などの計画を立て、工程表や日程表、もしくは作業指示票などの形式に表現します。
・D=生産実施
生産計画に基づき、生産作業を実施します。各部門の管理・監督責任者が担当者へ的確に指示を出し、製造や運搬などを実際に行います。
・C、A = 生産統制
生産計画どおりに生産実施が行われているかをチェックします。計画と実績がずれていたら、調整を行い、挽回をします。
狭い意味では、生産統制部分を工程管理という場合があります。
英語:production control
■生産の3要素「3M」とは
生産の3要素である3Mは、
・材料(Material)
・設備(Machine)
・人(Man)
の頭文字をとって、3Mと呼ばれます。
計画された生産を実行するために必要な、材料、設備、人のことです。
さらに、生産方法(Method)を加え、4Mと呼ばれることもあります。
■生産管理の目的
生産管理の目的は、お客様へ、「必要なものを・必要な時に・必要な量だけ」、さらに「効率よく」お届けすることです。
「必要なものを・必要な時に・必要な量だけ」届けられなければ、お客様は離れてしまい、売り上げが落ちてしまいます。
また、効率が悪く、利益確保できなければ、事業の長期継続が困難になります。
企業にとって、生産管理は事業を長期に継続させるための手段であり、目的ではありません。 製造業にとっては、設計・製造・営業が主役であり、生産管理は裏方です。
なので、生産管理業務そのものの効率を高め、スピードを速くすることは、後回しにされがちです。
しかし、生産管理の業務スピードがネックになって、実際の生産工程において、無駄なコストやリードタイムが発生してしまうようでは、本末転倒なので、気をつけなければなりません。
「事業継続」のために必要な手段として、市場のスピードに遅れを取らないスピーディーな「生産管理」が必要であることを常に頭から離さないことが重要です。
■生産管理は時代によって変化する
総じて、20世紀前半くらいまでは、供給が需要に追い付かない時代でした。
いかに多くの商品を効率よく低コストで製造するかが重要で、製造したものは大量に売れました。
初期は製造能力を高めることが重要で、設備投資を行い、人員を多く配置しました。
やがて、製造能力が需要に追いつき始めると、コスト競争が始まりますが、量産効果によるコスト削減が主な手段として効果的でした。
18世紀後半の産業革命から、およそ200年の間、能力競争からコスト競争へと緩やかに変化しながら、効率の良い大量生産を目指し実現してきました。
ところが、現在では供給が需要を追い越す時代となりました。飢餓による死者数を、肥満由来の生活習慣病による死者数が上回る時代となりました。
消費者は選択の幅が広がり、個人の趣味や、個性を追求することが既得権となりました。その流れとともに、需要が細分化され、消費者が求める商品を素早く製造するために、多品種少量・短納期生産が必要となっています。
このような状況では、求められる商品をQCDを保ちながら、次々に製造していかなければなりません。需要予測から、製品設計、生産計画、材料調達、製造、物流、販売にいたるまでのサプライチェーンを、できるだけリードタイムを短縮しながら回さなければなりません。
より良い生産管理のために、コンピューターによる生産管理システムを利用することも有効です。
これまでの生産管理システムは、生産管理業務のなかの事務的作業の効率化と、製造の効率化を目的としたものが主流であったと思います。
しかし、これからの時代、市場変化のスピードを凌駕する、生産管理の中でも意思決定のスピード化を目的とするシステムが必要になってくると思います。
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